All I have to give
ハルが、私にキスをした…―――
突然の事に、頭が追いつかない。
想いをぶつけるような、優しいような…
でもどうしてか、切ないキス。
ハルにドキドキしていたのは、確かだ。
「ど、したの…急に」
好きとかよく分からないけれど、ハルにもっと触れたいと思ったんだ。
「…俺のものに、なれよ」
「ハル…?」
頬に手を添えられて、小さな声でハルは呟く。
いつも強引なハルが、儚く見えた。
「…いいよ」
ハルの瞳が、一瞬細められた。
私には、何もないけれど…
ハルがいてくれたから、今私は生きている。
ハルが私を必要としてくれることが、私にとってどれだけ大きいか…
「いいよ、ハル…」
ハルはきっと、私を好きなわけではないと思う。
でも、お互いの寂しさを埋める存在で。
愛に似た感情を求めている同士なんじゃないかって…
ハルのキスで思ったんだ…―――
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