All I have to give

『日和さんはね、悠斗の婚約者よ。悠斗が愛している人』


何度もその声が、頭の中で繰り返される。


バカみたい…


バカみたい…


バカみたい…



『俺のものに、なれよ』


分かっていたのに。私とハルはただ、寂しさを埋める存在だって。

その間に愛なんて存在しないんだって。

分かっていたのに。


何で、涙が出るんだろう…


ハルに愛されたいって、心のどこかで望んでいたから？


ハルが見ているのは、日和さんに似た私。


安原 結愛ではなく、いつだって日和さんに似た私なんだ…。


「…あれ、ユナちゃん？」


「……っ」


何でこんな時に限って、会いたくない人に会ってしまうんだろう。こんなにたくさんの人がいるっていうのに…


「泣いてる？何かあった？」


カズさんは、逃げようとした私の腕をしっかりと掴んで離してくれなかった。



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