All I have to give


ライトブルーの生地に白い花がたくさん咲いたワンピース。

アイメイクをいつもより濃くして、長い髪を軽くコテで巻いてみる。

普段の自分のままでは、違和感がありすぎて急いで化粧ポーチの中身を広げた。


そんな事をしているうちに、30分なんてあっという間に過ぎてしまい…



「おっせ…えよ」


振り向いたハルの眉間にはシワが寄っていたけれど、驚いた顔のまま固まってしまった。


「…ごめん」


「は、早く行くぞ」


タバコを消して、ハルは玄関へと足早に行ってしまう。


「コレなら大丈夫だろ?ほら」


慌てて追いかけると、ハルは箱から新しい靴を出して並べた。ヒールが低い、シンプルな白いサンダル。

ハルが私の手を取ってくれたことに驚きながら、嬉しくてサンダルに足を通す。


「うん、ありがと」


サイズを聞かれた事なんてないのに、いつだってハルが用意してくれる靴はぴったり私の足にフィットする。


それは、ハルが『イイオトコ』だからなのだろうか…。


これからハルと現実逃避という名の、夏休み。

ハルと二人ならどこに行っても、胸が弾む…――――



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