All I have to give
ハルと出かけるのは、あのランチ以来で。
久しぶりに二人で車に乗った。
何を話せばいいのか、考えても思い浮かばずずっと沈黙が続いていた。
洋楽バラードが流れているだけの車内。
高速道路に入り、車は飛ぶように進んでいく。
「ねぇ…」
ハルの眉がピクリと反応する。
私はそのまま続けた。
「お母さんからね、今まで一度も連絡がないの…。それってやっぱり、あたしはいらない子だったって事だよね」
「よく、分かんねぇけどさ…。いつか帰ってくるってどこかで思ってるから連絡ねぇんじゃねぇの?」
「…そんなの、絶対ないよ」
ハルも、突然いなくなった日和さんを信じて待っているのかな…。
いつか帰ってくるってどこかで思ってるのかな。
「突然いなくなっても、確信みたいなもんがある…。願いとか信じたい気持ちじゃない、絶対って何故か確信するものがさ」
胸が、針で刺したように痛くなった。
ハルは、日和さんが帰ってくるって確信している。
それは、強い想いがあるからだ。
「それって、どんなに幸せなんだろ…」
独り言のように呟く。
日和さんが羨ましい。こんなに、ハルに愛されてる日和さんが…
鼓動がどんどん速くなっていく。
ここまで来て、何考えてるんだろう…
自分が嫌で嫌で、俯いた時だった。
ハルの手が、私の頭をポンポンと撫でた。
「お前は、何も悪くない」
ずっと、このまま…ハルの側にいられたらいいのに。
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