All I have to give
「んー。美味しい」
テラスでハルとバーベキュー。
海を見ながら頬張るお肉は、より一層美味しく感じた。
ハルは次々に野菜や肉を網の上に並べていく。
焼き加減にこだわりがあるらしい彼は、トングを握って離さない。
「絶妙な焼き加減だろ?」
「うーん、ちょうどいいかも」
正直普通だけれど。ハルの機嫌が良いから言わないでおこう。
「ハルは食べなくていいの?」
「食わせて」
やっぱり、トングは離さないみたいだ。
私は串から肉をとって、ハルの口に運ぶ。
「ん、やっぱ俺天才」
「…………」
返す言葉に困ったが、ハルの穏やかな横顔は夕陽に照らされて見入ってしまう。
女の子みたいに長い睫毛も、すっと筋の通った鼻も、全部全部…綺麗だ。
「おい、ぼけっとしてねぇで早く食え。まだまだあるからな」
「もうお腹いっぱいだよ」
「そんな食わねえから細せぇんだよ。胸だって…」
私はハルの肩を思いっきりパシッと叩いた。
「って…本当のことだろーが」
きっと私の顔は真っ赤になっている。
私にとって、初めてだったんだ…
ハルだから、いいって思ったのに。
「こ、これから発育するだろ!な?元気出せよ」
「するわけないじゃん」
ハルの、バカ野郎…。
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