All I have to give
目が覚めると、隣で寝ていたハズのハルの姿はなく…。
広すぎるベッドの上で、暫く昨日の余韻に浸っていた。
昨日、ハルと身体を重ねた事…
恥ずかしくて思い出したくないのに、頭の中にハルが浮かぶ。
『…いいのか?』
ゆっくり頷いた私は、ハルのものになった。
ハルは優しくて、温かくて。
何度も涙が溢れた。
言葉に出来ない感情。初めて誰かを求める感情が、胸をぐっと締め付けて。
好きって薄っぺらいものだって思っていた。
だけど、違ったんだ。触れたくて触れたくて、仕方なくなる。
自分じゃないみたいに、深くハルを想っていた。
ただ、ハルだけを…
「あれ…?」
シャワーを浴びて、リビングに顔を出すがハルの姿はない。
それどころか、車がない。
どこに行ったんだろう。
ベランダに出て、海を眺める。
いい天気で、海水がキラキラと光って見えた。
柵の上に足をかけて身を乗り出していると、ハルの車が入ってくるのが分かった。
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