All I have to give
「ハル」
「お前、やっと起きたな」
ジーパンにシャツとラフなスタイルのハルは、それだけでも充分に色っぽく私の瞳に映る。
「ほら、エサ買ってきた」
「え、エサって…」
ハルがコンビニの袋を私に渡す。ハルがコンビニって、想像がつかない。
「プリンだ!」
「顔にプリン好きって書いてあるもんな」
ハルには私の事、何でも分かってしまうのが悔しい。私はハルが何を考えているのか全く分からないのに…。
ハルとの夏休みは、夢みたいな時間だった。
自由で、遊んでばかりで。
何より、いつも隣にハルがいた…―――
「コレ、やろうぜ」
最終日の夜、ハルは袋いっぱいに入った花火を出して。
儚く、笑ったんだ。
その瞬間、これまでにないくらい胸がギュッと苦しくなった。
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