All I have to give
庭に花火を広げて、手当たり次第火を点ける。
「綺麗!」
「おい、こっち向けんなって!」
「あはは、ハル怖がってる」
ハルの、一番になりたいよ。
心も身体も全部…。
「わあっ!」
ロケット花火が夜空に上がって、破裂音と共にすぐに消える。
「あんなにあったのに、あっという間だな」
「本当、早いね」
しゃがみこんで、お決まりの線香花火にそっと火を点けた。
「………」
あんなに子どものようにはしゃいでいたのに、お互い無言になる。
バチバチと、線香花火が燃えて。
呆気なく地面に落ちた。
まるで、自分のようだと思いながら…
「忘れ、られねぇって…思ってた」
「え?」
突然、ハルが真顔で次の線香花火に火を点けながら話し出した。
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