All I have to give
「いつも心に居るんだよ、あいつが…」
日和さんの事なんだって、すぐに気付いた。
私はただ黙って、ハルの言葉に耳を傾ける。
「朝起きても、何をしていても…寝る時もいつも。あいつの事が忘れられなかった。けど、この一週間は…違った」
ハルと目が合って、金縛りにあったように縛られた。視線を、外せない。
「単純に、楽しかった。ユナとここに来て。バカみたいに、楽しかった…」
涙が溢れた。
例え、短い間だったとしても。ハルは日和さんの事を忘れられたことが、嬉しくて…
「お前は、"イイオンナ"だ。自信持て」
「フッ…ヒールも履けないのに?」
「んなの、慣れだ慣れ!」
もっと、繋ぎ止めて欲しいのに。
いつもの横暴さで、離れないように。
抱き締めて、言って欲しいよ…
「ハル…抱いて」
ハルだけを、考えていたい。
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