All I have to give
パーティーが行われる土曜日。
ハルが用意してくれたサロンで、ヘアメイクをしてもらった。
誰かにメイクしてもらうなんて初めてで、ドキドキする。
「ほうら、可愛くなったわよ~?」
ヘアメイクをしてくれた勝野さん。見た目はオシャレなおじさんなのに、話すとオネエ…。そのギャップに少し動揺しつつも、鏡の中の自分に驚いた。
「ありがとうございます」
「んもう、リアクション薄いわね~。自信持ちなさいよ?若さと可愛さは武器よ」
プロの手にかかれば、童顔の私はたちまち大人びた女性になっていて。長い髪を綺麗に編み込んだアップは、決して自分では出来ない。
「あなたが羨ましいわ~。悠斗くんにエスコートしてもらうんでしょう?」
「はい…」
立ち上がると、膝丈のドレスがふわっと揺れる。
「あら、噂をすれば悠斗くんの登場ね」
私の両肩に手を添えた勝野さんは、耳元で嬉しそうに笑った。
ガラス越しにハルの車が見えて、きっちりスーツを着たハルが降りてきた。
やっぱり、ハルは私が知っている誰よりもカッコ良くて"イイオトコ"だ。
「悠斗くぅ~ん、見て!可愛くなったでしょう?」
勝野さんに背中を押されて、ハルと目が合う。
何だか恥ずかしくて、すぐに視線をそらした。
「へぇ…さすがだな」
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