All I have to give
なんで、なんで、なんで…
幻じゃない事を確かめたくて。
私はハルまで走り出す。
「ハル!!」
潮風に吹かれて涙が舞う。
強く強く、ハルを抱き締めて。やっぱり夢なんかじゃなかったんだと気が付いた。
「バーカ。人の話最後まで聞かねぇで…」
「だって結婚…す…って、ひっ、ふっ…」
もう話すことなんて出来ないくらい、嗚咽が込み上げる。
「全部、捨ててきた」
「え…」
「お前が欲しいから、全部捨ててきた」
ギュッとハルの服を握って、言葉の意味を理解する。
それがどんなに大変な事か、想像がつかないけれど。
ハルがした決断は、きっとたくさんの人に影響があるだろう。
「勝手…」
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