All I have to give
「ったく、これだからガキは…」
「ガキじゃないもん…グスッ」
「いいから早く入れ」
私、この人に出逢ってなかったら今頃どうしていたのだろう…
泣きながら入れてもらった彼の家は、想像を絶する程豪華なものだった。
住んでいた田舎の家を二つ並べても到底及ばない広さのリビングは、全面ガラス張りで。
エレベーターで見た夜景が大パノラマで広がっている。
涙も忘れてキョロキョロと周りを見渡した。
大きなソファ。
大理石らしきローテーブル。
天井にはシャンデリア。
「うわ、ふっかふか」
「ガキ、はしゃぐな」
ソファに座ると、身体ごと包み込まれるようにぐっと沈む。
ジャケットを脱いでネクタイを緩めながらタバコを咥えた彼は、まさに大人の男性で。
向かいのソファに腰を下ろして、深く煙を吐き出した。
「条件がある」
「じょう…けん…?」
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