満ち潮のロマンス
2週間。

あの時は大失態を仕出かして何も聞かず恥ずかしくってすぐに帰ってきてしまったけど…

あの人…先生と逢ってから頭から離れない。
着物姿の綺麗な歩き方とか静かな話し方とか笑った声と顔が…

お礼を口実に逢いに行っても良いだろうか…迷惑かな??
なんてなかなか踏み切れなくてただ考えてるだけだった。

それからようやくちょっとひっかかってる何かに気がついた。

家にある大量の本棚を片付けていると著者の欄に「藤堂義嗣」と。

同性同名?よくある名前ではないし、それに書道を教えてるって言っていた。

いやまて!話の口実にもなる!お礼も持って行けるし!何気なく同姓同名って居るんですねなんて!

逢いに…行ける…


こんなに誰かを思って逢いたくなって、ちょっとでも気に止めて欲しくてそんな気持ち初めてだと思う。




男の人にだらしがなかった母はいつも違う人を家に連れて来ていた。

中学になってから私はどんどん成長して、私目当てで家に来る人も中には居た。

母はそれを知って激怒し、私をなじる事は少なくなかった。

トラウマなんて酷いものじゃないし、付き合う事も何度かしたけど、私から想う事がなかった。
私には恋愛感情が欠落しているんじゃないかと思っていた。








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