紅桜の散る頃に。
「なんだぁ?心配してもらってんのに無視かよ....感じわりー」

わざとかなくんに聞こえるように大きな声で言う蛍の方が絶対感じ悪いよ....

「もういいからっ....それより怪我、何とかしなくちゃ」

「あー?こんなん舐めときゃ治るって」

「腕とかはそれでいいかも知れないけどほっぺは舐めれないでしょ!バカな事言ってないでほらっ保健室行くよっ」

蛍の腕を半ば強引に引っ張って保健室に入った。

保険医は不在で保健室のなかはカランとしていた。

「いないのかー....ま、いいや。ほらっ座って!顔見せて」

「お前ちゃんと手当て出来んのかよー」

と蛍が不満気な声を漏らした。

「バカにしないでよねっ出来るわよ!」

消毒液を傷口に垂らして脱脂綿で拭き取る。

「いってぇ!!お前付けすぎだろ!!!!!!」

「うるさい。ちょっと!動かないでよっ」

じたばたと暴れる蛍を抑えていたけど何かの拍子にバランスが崩れて二人ともベットに倒れこんでしまった。

「きゃっ」

私は蛍の胸に抱かれていた。

「ごっごめ....」

慌てて起き上がろうとするとぎゅっと抱き締められた。

「ほ、蛍?」

「なぁ、水穂....俺、誰にもお前を渡したくねぇよ....」

ドキッとした。同級生でふざけあってるだけだった蛍がそんなこと言うなんて....

どうしよう....かなくんに告白された時よりドキドキしてるよ....

「ほた....」

口を開いた瞬間ガラガラッと保健室のドアが開いた。

「おぉっとぉ?邪魔だったか?てゆーかこんな昼間っからお盛んな....」

そこには物理の先生がいた。

私たちは慌てて身を起こした

「せっ先生っ....誤解ですっちょっと転んだだけで...!!!!」

私が必死になって弁解する

「あー、ハイハイ 俺ね、別に他人がどんな事しようと興味ねーの。」

先生はさらりと言って救急箱から絆創膏をとって指に貼った。

「なっ....」

別に興味無くてもいいけどさー!その言い方は無いんじゃない!?

「なに、気にしてほしかった?」
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