紅桜の散る頃に。
「まぁまぁ!!!彼方くんじゃない!?」
「おばさん!!お久しぶりです」
どこからともなくやって来た母はとても嬉しそうにかなくんを歓迎した。
「あらー、すっかり大人っぽくなったのね!!ふふっ」
「そうですか?おばさんはいつになっても変わりませんね」
「やーねーっもうっ、うまいんだから」
お世辞に乗せられて調子に乗る母を横目に私はお茶とお菓子を用意していた。
「蛍、ちょっと手伝って」
「おう」
「これとこれ、部屋に持っていってくんない?」
「ほいほーい」
私はお盆を蛍に渡してかなくんをそろそろお喋りお母さんから解放してあげにいく。
「お母さん、そろそろいい?私たち上に行くね」
「あら、つい懐かしくって、ごめんなさいねぇ」
笑う母を見てかなくんは嬉しそうに笑っていた。