世界は広い、僕等は浅い。
高校2年の今。教室に行ってももうグループは出来上がっているし、今更、戻りたいとは思わない。



「おまえと俺、同じクラス。」



椅子に座って、お昼のお弁当を食べている私の目の前にその人は何の迷いもなく、真正面に座る。



…………同じクラスだったんだ。



「なんで、教室来ねぇの?」



一日だけだったんだ、教室に入ったの。だから、今更。



「言葉を話すのがコワいの。私、昔から小さい声だから、中学の時もいじめられててさ。人と話すのがコワい。」


………だから、ココにいたほうが楽だもん。



「俺と話てんじゃん。」



・・・・・そうだけど。コワイものはコワイんだもん。



臆病な私が邪魔をする。



「俺と話てんだから、奴やとも話せる。」



「でも、みんな私のこと知らないし。」



「知ってるし。おまえ有名人だよ、クラスで。保健室の座敷わらしって。幸福を運んで来る、可愛いおかっぱちゃんだって。」


“だから来いよ”とキミは笑っている。



「人と会うのがコワイんだもん。」



「おまえ、わがままだな。」



フッとキミは、歯を見せて笑う、そして「それなら俺に会いにくれば?」



私が「は?」と眉間に皺を寄せつつ少し睨むとキミは冗談だよとハニカんで保健室を後にした。


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