世界は広い、僕等は浅い。
次の日もキミは顔を見せに来た。



「一日何をやってんの?」



「勉強?」



キミは、”ふぅ〜ん”と私の座る椅子の真正面にまたドカンと座ると、勉強をしていた私のノートを覗きこむ。



「なんて狭い世界なんだろうな。」



「その狭い世界が今の私にとっては精一杯なの!私の何が分かるってゆうの!」



「あぁ、全然わかんねぇよ。でも、その精一杯は本当に精一杯?おまえの精一杯なの?あぁ〜あ、本当にもったいない。一歩、踏み出してみろよ、世界は広いよ。」




キミは堂々と私に言ってのける。


ストレートな言い方にカチンと来るも、この力強い眼差しに私は何かを奪われそうになる。




「おまえに何か言うやつがいたら、俺が笑いに変えてやるよ。」



「笑いに?そこは、守ってやるよ…とかじゃないの?」



「守ってやるほど、おまえのこと知らないし。だから、笑いに変えて守ってやるよ。」




そう言って、またキミは保健室から教室へ帰って行った。



ふふ、言ってることがバラバラだね。




(本当に精一杯なの?)



(世界は広いよ。)




キミは、私にドンドン踏み込んで来る。



キミが頭から離れなくなっちゃう。



(それなら俺に会いにくれば?)



会いたい。



会いたい。



(本当にそれは、精一杯なの?)




(笑いに変えて守ってやるよ。)



私、キミの事全然知らないな。



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