Secret
プロローグ
人は望む生き物。

その大きさは様々だけど

望むことを止めない。

そんなことちゃんと分かってる。

だって、私もそうだから。

優しい家族に温かい家庭。

物心ついた時から、私の周りにいる人はみんないい人で

何一つ不満なんてないくらいに私は恵まれていた。



だけど、私は望む。

秘密を抱えてまでも望む。

――Secret――





私はきっと一生この光景を忘れない。

ずっと押し殺してきた本心。

でも、今日からはもう隠す必要なんてない。



高校生活を満喫して

友達を作って

もし、チャンスがあれば彼氏だって欲しい。



“普通の生活”



それが、私の望む全て。

漸く手に入れたもの。



三浦 姫花。

今日から念願の普通の女子高生になります!!



マンションのベランダから見える空は濃紺の中に緋色が混じる。

闇を緋色が浸食していく様を私はこれから始まる生活に胸を弾ませて眺めていた。



























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