Secret
「用事があるなら朝緋を通さずに直接私に連絡くれればよくない!?」
『電話口ででけぇ声出してんじゃねーよ。俺の鼓膜、破るつもりか?』
「ご……ごめん」
『……ったく。綾さんはお前に気を遣ってんだろーが』
「なんでママが私に気を遣うのよ?」
『もしかしたら、お前が友達付き合いに忙しいんじゃねぇーかってな』
「……」
『でも、今日は大人しく家にいるんだろ?』
「……そんなの聞かなくても分かってるでしょ?」
不貞腐れ気味に呟くと、朝緋が喉の奥で笑ったのが分かった。
「ママにも朝緋から言ってくれたらいいじゃん」
『なにを?』
「毎日、優等生的生活をしてるから夜は絶対に家にいるって」
『悪ぃけど、俺は嘘が吐けない性格なんだよ』
「は!? なにが嘘なの!?」
『優等生は学校の帰りに寄り道なんてしねぇーだろ』
「は!?」