Secret
「それで、お母さんはなんの用事なの?」

『さぁ?』

「……はい?」

『あ?』

「わざわざ連絡してくれるってことは、用件を伝えてくれるんじゃないの?」

『いや、俺はただ綾さんの言葉を伝えようと思っただけど?』

「それならやっぱりお母さんが直接連絡をくれた方が……」

『……お前、俺の好意を無駄だって言いてぇーのか?』

急激に低くなった朝緋の不機嫌そうな声に私は焦った。

「と……とんでもない。すぐにお母さんに連絡するから」

『おう』

「じゃ……じゃあね」

そそくさと終話ボタンを押し、私は深い溜息を吐いた。

あいつだけは絶対に怒らせちゃいけない。

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