Secret
『うん、分かった。それより姫花』

「なに?」

『ちゃんとご飯食べてるの?』

「うん」

『外食ばっかりじゃないでしょうね?』

「ちゃんと朝も夜もお弁当も作ってる」

『家事は?』

「ママに教えて貰ったようにちゃんとしてる」

『そう、安心したわ。でも、無理はしないでね。勉強が最優先よ』

「分かってる」

『近いうちに帰ってらっしゃい。パパもあなたの顔を見たがってるわよ』

「うん、分かった。今週末には帰るってパパにも伝えて」

『分かった。喜ぶと思うわ』

終話ボタンを押した私は壁に掛けてあるカレンダーに視線を向けた。

……ちょっと楽しみ。

あんなに離れたいと思っていた生活。

だけどこうして実家に帰る事をとても楽しみにしている。

矛盾している。

私自身がそれに気付いていた。



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