Secret
家を出ると玄関前に停車していたのは朝緋の車だった。

正確に言えば、朝緋のお父さんが所有する車。

まだ高校１年生の朝緋は当然ながら車の免許なんて持っていない。

４月生まれの朝緋は単車の免許は持っているけど、取得後まだ１年経っていないから2人乗りはできない。

意外にも生真面目な朝緋が道交法を犯してまで私を後ろに乗せることは100%ありえない。

だから、てっきり電車かバスに乗って送ってくれると思っていた私はその予想を見事に裏切られた。

あの車、一体、誰が運転するんだろう？

そんな疑問は愚問だ。

ちゃんと専属の運転手さんがいて、朝緋の姿を見た途端、機敏な動きで車外に飛び出してきた運転手さんが後部座席のドアを開けてくれる。

そこに

「乗れ」

私を押し込み

隣に朝緋も乗り込んでくる。

車に乗る時

「お願いします」

軽く会釈をしながら声を掛けると深々と頭を下げられ逆に申し訳なくなってしまう。

朝緋がシートに腰を降ろしたことを確認した運転手さんが後部座席のドアを閉めてくれる。



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