Secret
◆◆◆◆◆



マンションに帰ってきた私は、なんとなく1人になりたくなくて、半ば強制的に朝緋を部屋の中に招き入れた。

そして

「あの時、私、お弁当食べれなかったんだからね」

リビングのソファに座り、隣にいる朝緋に愚痴を零していた。

私が言う“あの時”とは北山先輩に初めて呼び出された日のこと。

話の流れで北山先輩の話題が出て、私はその時のことを思い出してしまったのだ。

「そんなの俺の所為じゃねぇ―だろ」

「……」

そんな事言われなくても分かってる。

完全に八つ当たりだって……。

だけど、あの時の怒りを誰かにぶつけたくて仕方がなかった。

その相手をたまたま今、私の前にいてしかもあの時の話題を出した朝緋に選んだだけの話。



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