Secret
でも、結局は正論を放たれて黙り込むしかなかったんだけど……。

無言で睨む私に、朝緋は面倒くさそうに溜息を吐く。

「弁当が食えなかったからって、俺に文句言うんじゃねぇ―よ」

「……」

「そんなに文句が言いたいなら呼び出したあいつに直接言え」

「言える訳ないじゃん!! 顔も見たくないのに!!」

「気の毒に……」

「誰がよ?」

「あの3年だよ。北山だっけ? 相当、嫌われてんじゃん」

朝緋が鼻で笑う。

その態度は決して北山先輩に同情しているようには見えず、寧ろ嘲笑っているようにしか見えない。

「当たり前でしょ。普通の生活がしたくてあの高校に入学したのに、早々に目立つ呼び出し方をして注目の的にしたクセに付き合ってもないのにキスしてきたから全力で拒否ったら

散々人を罵って、挙句の果てにはそのすぐ後に同級生の女の子と付き合いだしたんだよ」

「……」

「そんな相手がいるなら、最初から私なんかにちょっかいを出してこないで欲しいんだけど」

「……キスだと?」

至極、低音の声が響いて私は

……しまった……

自分の愚行に気付いた。

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