Secret
「あっ!! 大丈夫!! 完全に未遂だから!!」

「そういう問題じゃねぇ―だろ」

「未遂なんだから問題にもなにもならないって」

「あ?」

「ちょっと、私に凄まないでよ!! キスしてきたのは私じゃなくて北山先輩なんだから……って、朝緋!? どこに行くの!?」

ソファから立ち上がった朝緋は、私に背を向けドアの方に向っていて

「朝緋!?」

呼び掛けた私に

「ちょっと行ってくる」

不敵な笑みを向けてくる。

その眼には鋭さと狩りを行う前の獣の獰猛さが滲んでいる。

……ヤバイ……。

こんな表情の時の朝緋は絶対にヤバイ!!

「行くって……」

「北山の所に決まってんだろ」

「はぁ!? なんで!?」

「それ、聞きてぇーか?」

不穏な朝緋の口調に

「いい!! 大丈夫!!」

私は全力で拒否した。

……ヤバイ……。

どうしよう!?

このままだと100%の確率で北山先輩の身が危ない。

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