Secret
「あ、それと・・・・・」

「今度はなに?」

「お前、転入生に懐かれてんだろ」

「転入生?」

「乾 諒だ」

朝緋の口からその名前が出た瞬間――

あの日の記憶が蘇った。

放課後の教室。

いつもは全てに対して興味なさげな冷たい瞳が

あの日は私を映していた。

「なっ……なんで……」

『なんで知ってるの!?』

そう尋ねようとして私は口を閉ざした。

こんな質問するだけ愚かだ。

朝緋が知らない訳がない。

校内で起きた私に関わる出来事を朝緋が把握していない訳がない。

でも、あの時、教室にいたのは私と乾 諒だけ。

それ以外で乾 諒と話したことはない。

……きっと誰かに見られていたんだろうな。

朝緋になんでも報告するような誰かに……。

そんな人間は私が知らないだけでたくさん潜んでいるに違いない。

……っていうか、もしかしたら報告じゃないかもしれないけど。



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