Secret
「一体、そういう頑固なところは誰に似たんだ?」

「……パパもママも頑固だけど。因みにお兄ちゃんもね」

私の言葉に、一瞬視線を彷徨わせ何かを考える様な仕草を見せた朝緋が

「確かにそうかもな」

苦笑しながら納得したように呟いた。

鋭さと威圧感が朝緋の眼から無くなった事で私は漸く緊張していた身体の力を抜き心の中でこっそりと安堵の溜息を吐く。

「頑固者のお前には、不必要な話かもしれねぇーけど」

そこで言葉を切った朝緋が、再び私に視線を向ける。

その瞳にさっきみたいな鋭さや威圧感は無い。

だけど、その代わりに真剣さが滲んでいた。

だから私も自然と聞こうとする体勢をとった。

「お前が望むような生活を送りたいなら、乾 諒には関わるな」

「それって……」

朝緋の言葉を理解しようと頭の中がフル活動を始める。

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