Secret
「役目?」

「忘れたのかよ? 俺が親父さん達から任せられているのはお前のお目付け役と警護だ」

「……別に忘れてないし」

「それなら、乾 諒の身元を俺が掴んでいても姫花に報告する必要はねぇーだろ?」

朝緋の言っている事は正しい。

それは理解できる。

だけど納得はいかない。

でも、納得いかないからってここで言い返しても100発100中言い負かされてしまうに違いない。

だって朝緋は頭の回転がとてつもなく速い。

私とは脳の構造が根本的に違うんじゃないかって思うくらいに速い。

そんな朝緋と口での勝負に挑んだとしても私が言い負かされてしまうのは必然なのだ。

負けが分かっている勝負を挑む程、私は愚かじゃない。

だから、この納得いかない想いは言葉に乗せるんじゃなくて眼差しに乗せるしかない。

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