Secret
・・・・・・分からなくて当然か。

頭上にいくつものはてなマークを浮かべた乃愛に苦笑しつつ、お弁当箱に収まっている卵焼きをお箸で挟んで口に運んだ。



入学式の日。

私はこれからの生活に期待を膨らませつつも、多少の不安を抱いていた。

友達はできるのだろうか?

ふとしたきっかけでバレてしまうんじゃないだろうか。

もし、バレたらここに来た意味がなくなってしまう。

そうなれば、今まで頑張ったことが全て無駄になってしまう。

そう、考えると不安に押し潰されそうになった。



教室に行ったら

元気に挨拶して

近くの席の女の子に自分から話し掛けよう。

何度も頭の中でシミュレーションしたのに、教室に入る前に不安感に襲われた私は後ろのドアからコソコソと教室内に入り、黒板に掛かれていた座席表で自分の席を確認してすかさず席に着き、そのまま空気になりすましていた。



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