Secret
当たり前に驚いた表情を浮かべている彼女。

……こういう場合、どういう感じで取り繕えばいいんだろう?



経験の乏しい私には、いい案が思い浮かばず

「・・・・・・あの・・・・・・」

やっぱり相手の顔色を窺うように見やることしかできない。

私の声に

「・・・・・・あっ・・・・・」

我に返ったらしい彼女は

「・・・・・・その席・・・・・・」

言い辛そうに口を開いた。



「席?」

「うん。そこ、私の席なんだけど・・・・・・」

「え!?」

急いで黒板の座席表を確認すると

彼女の言う通り私が座ってる席には“三島”と書いてあってその前が“三浦”だった。

「ご・・・・・・ごめんなさい!!」

私は自分でもびっくりするくらいの俊敏な動きで、机の横に掛けていた鞄を掴むと前の席に移動した。



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