Secret
……お気の毒に……。

心底、男子の学級委員に同情するけど

彼の名前すら知らない私が同情したところで彼の力になれるわけでもない。

だから、密かに心の中で労いと同情の言葉を掛けるだけに留めておいた。

学級委員の彼に同情しているのは私だけじゃないらしく、至る所からそんな空気を感じるから想っている事はみんな同じだと思う。

そんな空気を感じないのか転入生の彼はソエちゃんに指示された席へと気怠さを纏いつつ足を進めていく。

乃愛や瑛太は他のクラスメイト達と同じように唖然と転入生を見つめていた。

それとは対照的に由良だけは相変わらず興味無さそうに窓の外を眺めていた。



彼との初対面は衝撃と同情を孕んだものだった。



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