紅狼Ⅰ《レッドウルフ》
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「……で、なんとなくわかったか?犬」
『わかりません総長。なんで生徒会役員なんすかわけわかんねーよ優等生かよ対極の存在じゃねーかよ』
会議が終わり、生徒会役員室を後にした後。
俺は今、
寮にある零弥の部屋に来ていた。
詳しく話すから来い、といわれりゃ、まあ行くしかないわけで。
いや気になるわ普通にいろいろ。
気になる事多すぎてカオスだわ。
「そこはたいした問題じゃねえんだよ」
『いや問題だよ大問題だと思うよ?』
「あの生徒会ーーそれと水瀬だが、お前はどう思った?」
『……どうって言われてもな。うーん。あまりいい感じはしなかったなぁ。水瀬は……偉そうだったし。イラっとした』
「そう、それで正解だ、犬コロ。あいつはクッソ野郎だ」
『クッソ野郎すか』
言うなオイ。
「一ヶ月後、選挙があるっていっただろう?水瀬は、汚ねえ手でツテに根回しして、ムカつく俺を役員から落とす気でいる」
『ほお』
「というか、あいつは自分の気に入らねぇもんは認めねぇ。仕事もしねぇ。会長の地位だけふりかざしてデカイ顔がしたいだけだ。そんな水瀬がトップの今の生徒会はハッキリ言って機能してねぇ」
『ほむ、なんかどうしょうもねぇな』
「そうだ、だから、潰す」
『は?』
「ぶっ潰して、俺が会長になる。下克上だ」
『……いやいやいやいや!?アンタ総長じゃん!?暴走族の!!しかもあの【燐龍】の!!なに生徒会長なろうとしてんの!?』
「別にいいだろ。どっちもトップにゃ違いねーよ。困るんだよ〝俺〟の通うガッコーが、クソになってくのが。そこかしこにある〝腐った根〟も取りのぞいてやんねぇと。変えてやるよーー【学園革命】、楽しそうだろ?」
……とんでもない。
とんでもない俺様だった、こいつは。
そして俺は、どうやらそんな俺様に、捕まってしまったらしい。
こいつなら、本当になんでもやってしまいそうで。
なんだか少しだけ、その見据える先が見てみたい、って思ってしまった。
ーー先を切り開く力。
決して臆さない、
折れない、
ぶれることのない、
上に立つ者の素質と、魅力。
それは、たしかに奴にはあった。
……【燐龍】の人達がこいつについて行きたくなるのも、少しだけ分かる気がする。
『どーせ、俺に選択権なんてないんだろ?ーーお供しますよ御主人様』
……革命、ねぇ。
淀んだ学園に新しい風を吹き込ませるのは、確かに楽しいかもしれない。