銀座のホステスには、秘密がある
プロローグ
今年の夏は暑い。
エアコンがない俺の部屋は、窓から入り込む涼しい風だけが頼りなのに、
今夜はそれすら期待できそうにない。
汗ばむTシャツを肩までまくりあげて、参考書を目の高さに持ち上げても、この暑さじゃさっぱり頭に入ってこない。
俺のベッドの上で教科書開いている充伸(みつのぶ)も同じだろう。
「あちー。やる気出ねー。早くエアコンつけてもらえよ」
充伸のボヤキすら、面倒だ。
「だったら自分の部屋でやればいいだろ?」
「俺んち最近弟がうるせぇんだわ。妹いじめて泣かすし……」
パタパタとうちわで扇ぐ腕は二の腕の筋肉が盛り上がっている。
ずっとバレー部だった充伸らしい腕だ。
「なぁ、部活辞めたら暇だな。何やっていいのかわかんねぇし。家にいてもつまんねぇし……」
受験勉強するって発想はないのか。
教科書開いただけで、勉強した気になってんだろ。
「なぁ、晶(あきら)。おまえ、部活辞めて毎日何やってた?」
俺も、中学の頃は充伸と同じバレー部にいた。
小学生の頃からつるんでた充伸が入ると言ったから入ったバレー部。
そんなに熱くもなれなくて、高校に入ってまで続けようとは思わなかった。
マネージャーでもいいかと考えたけど、男のマネは見かけないから、恥ずかしくて敢えて入部はしなかった。
「俺?別に……フラフラしてた」
あと半年で終わる高校生活。
特に記憶に残る様な思い出もない。
「女とかいなかったのかよ。おまえぐらい顔良かったら、それだけで女寄ってくんだろ」
見るつもりもない教科書を放り投げた充伸は、少し口を尖らせて嫉妬してるようにも見える。
どっちに嫉妬してんだよ。
俺に女ができることか?
それとも、俺と付き合う奴にか?
エアコンがない俺の部屋は、窓から入り込む涼しい風だけが頼りなのに、
今夜はそれすら期待できそうにない。
汗ばむTシャツを肩までまくりあげて、参考書を目の高さに持ち上げても、この暑さじゃさっぱり頭に入ってこない。
俺のベッドの上で教科書開いている充伸(みつのぶ)も同じだろう。
「あちー。やる気出ねー。早くエアコンつけてもらえよ」
充伸のボヤキすら、面倒だ。
「だったら自分の部屋でやればいいだろ?」
「俺んち最近弟がうるせぇんだわ。妹いじめて泣かすし……」
パタパタとうちわで扇ぐ腕は二の腕の筋肉が盛り上がっている。
ずっとバレー部だった充伸らしい腕だ。
「なぁ、部活辞めたら暇だな。何やっていいのかわかんねぇし。家にいてもつまんねぇし……」
受験勉強するって発想はないのか。
教科書開いただけで、勉強した気になってんだろ。
「なぁ、晶(あきら)。おまえ、部活辞めて毎日何やってた?」
俺も、中学の頃は充伸と同じバレー部にいた。
小学生の頃からつるんでた充伸が入ると言ったから入ったバレー部。
そんなに熱くもなれなくて、高校に入ってまで続けようとは思わなかった。
マネージャーでもいいかと考えたけど、男のマネは見かけないから、恥ずかしくて敢えて入部はしなかった。
「俺?別に……フラフラしてた」
あと半年で終わる高校生活。
特に記憶に残る様な思い出もない。
「女とかいなかったのかよ。おまえぐらい顔良かったら、それだけで女寄ってくんだろ」
見るつもりもない教科書を放り投げた充伸は、少し口を尖らせて嫉妬してるようにも見える。
どっちに嫉妬してんだよ。
俺に女ができることか?
それとも、俺と付き合う奴にか?
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