銀座のホステスには、秘密がある
「あ……」
殿の腕が背中に回る。
「彩乃に戻ってきてほしいか?」
殿の低い声が耳元をくすぐるから、
「でも、殿は癒し系の女の子が好きなんでしょ?」
胸が痛いくらいドキドキ鳴る。
「そうでもないさ」
殿の優しい声音に、俯いてた顔を上げると、
殿がすぐ近くで笑っていた。
「殿と彩乃と、二人に幸せになってほしかったんです」
「誰かの手伝いがないと上手くいかない恋愛なら、所詮そんなもんだろ」
「……」
「本当に欲しいと思ったら、俺は自分から取りにいく」
「……そうですね。アタシが間違ってました」
殿の大きな手のひらがアタシの頬を包む。
「元気出せよ。俺はおまえの笑顔が見たいんだ」
「……はい」
「作り笑いじゃないおまえの顔は、こっちまで幸せな気分になる」
「殿……」
「彩乃だって、おまえのそんなとこに惚れたんじゃないのか?」
そうなんだろうか。
でも、不思議。
アタシのどこに好きになる要素があったんだろ……
もしかして、知らない内に男っぽいところが出てて、彩乃がそこを好きになったとか?
「!!」
それはいけない!!
「サラ」
「っはい」
こんなんじゃいつか殿にも気付かれてしまう。
「今日の料理、用意したの、おまえだろ?」
「なんで?なんで、そう思うの?」
「分かるさ。鍋にラザニアってどうかって思うぞ」
「どういうこと?」
思わず起き上がってしまった。
「多いだろ。料理上手の彩乃にしては変だなって感じてたのを今、思いだした」
殿が「あはは……」って一人で笑ってる。
「……全部失敗って感じですね」
「そうでもないさ。サラが俺の為にここまでしてくれたんだから、俺としては最高だけどな」
「……なら、良かった。何か飲みますか?」
少しでも女子力があるところを見せないと。
そんな気持ちがアタシを焦らせる。
「はぁ。おまえは……相変わらずガードが固いな」
「え?」
「天然か?焦らしてるんか?俺が一生懸命に、いー雰囲気作ってるって時に、飲み物なんかいらんわ」
「へ?」
「そろそろおまえの口からも聞きたいんだけどな」
「なにを?」
「殿が好き、って」
殿の腕が背中に回る。
「彩乃に戻ってきてほしいか?」
殿の低い声が耳元をくすぐるから、
「でも、殿は癒し系の女の子が好きなんでしょ?」
胸が痛いくらいドキドキ鳴る。
「そうでもないさ」
殿の優しい声音に、俯いてた顔を上げると、
殿がすぐ近くで笑っていた。
「殿と彩乃と、二人に幸せになってほしかったんです」
「誰かの手伝いがないと上手くいかない恋愛なら、所詮そんなもんだろ」
「……」
「本当に欲しいと思ったら、俺は自分から取りにいく」
「……そうですね。アタシが間違ってました」
殿の大きな手のひらがアタシの頬を包む。
「元気出せよ。俺はおまえの笑顔が見たいんだ」
「……はい」
「作り笑いじゃないおまえの顔は、こっちまで幸せな気分になる」
「殿……」
「彩乃だって、おまえのそんなとこに惚れたんじゃないのか?」
そうなんだろうか。
でも、不思議。
アタシのどこに好きになる要素があったんだろ……
もしかして、知らない内に男っぽいところが出てて、彩乃がそこを好きになったとか?
「!!」
それはいけない!!
「サラ」
「っはい」
こんなんじゃいつか殿にも気付かれてしまう。
「今日の料理、用意したの、おまえだろ?」
「なんで?なんで、そう思うの?」
「分かるさ。鍋にラザニアってどうかって思うぞ」
「どういうこと?」
思わず起き上がってしまった。
「多いだろ。料理上手の彩乃にしては変だなって感じてたのを今、思いだした」
殿が「あはは……」って一人で笑ってる。
「……全部失敗って感じですね」
「そうでもないさ。サラが俺の為にここまでしてくれたんだから、俺としては最高だけどな」
「……なら、良かった。何か飲みますか?」
少しでも女子力があるところを見せないと。
そんな気持ちがアタシを焦らせる。
「はぁ。おまえは……相変わらずガードが固いな」
「え?」
「天然か?焦らしてるんか?俺が一生懸命に、いー雰囲気作ってるって時に、飲み物なんかいらんわ」
「へ?」
「そろそろおまえの口からも聞きたいんだけどな」
「なにを?」
「殿が好き、って」