銀座のホステスには、秘密がある
最初は遠慮がちに触れていた唇が、次第に熱を持って、角度を変えながら深くなる。
髪の間に差し入れられた大きな手も、力強くアタシを求めていて、
「はぁ……との……」
「サラ……」
もうどうなってもいい。
殿が好き。
殿の重さを全身で感じる。
殿の手が頬に触れる度に、愛情も感じる。
殿の激しくなるキスに、意識まで持っていかれそう。
大きな手が首に触れて、そのまま下に移動して……
「っ、ダメ!」
ピタリと殿の動きが止まった。
「サラ?」
「ごめんなさい。この先は、ちょっと……」
それでも動き出した殿の右手を慌てて抑える。
「無理。無理なんです」
「どうして?」
「だって……」
このまま続けてしまえば、女じゃないってバレてしまう。
「もし、そういうことがしたいんだったら、他の娘と……」
「はぁっ……」
大きなため息をついて殿がアタシから離れた。
言葉にしてみれば、酷いことを言ったと思う。
だけど、アタシは殿の想いに応えられない。
嬉しくない訳がない。
殿に触れられて、このまま流されてしまいたい。
もっと殿と触れ合っていたい。
だけど、そんなことしたら……
できない。
バレタクナイ。
「サラ」
「……はい」
「悪かった」
「っ。殿は悪くないです。全然。ただアタシの問題で……」
「この歳になっても、好きな女を前にしたら、抑えが効かなかった」
「殿……」
「俺もまだ若いだろ?」
無理して笑う殿に申し訳なくて、泣きそうになる。
「ごめんなさい」
「謝るなよ。俺がカッコ悪いだろ」
「違うんです。アタシ、本当は殿のことが好きで……」
「もういいよ」
アタシに背中を向ける殿。
胸が苦しい。
「殿……」
「達樹(たつき)」
「え?」
「上杉達樹。俺の名前」
「タツキ……良い名前ですね」
「タダオキだったらな。もっと良かったのにな」
「細川…ガラシャの夫の名前?」
ガバっと殿が起き上がり、目を見開いてアタシを見てる。
「サラ。なんでそれを……」
「歴史に興味があるって話したじゃないですか」
本当は、あれからハマって読んでる漫画で覚えた。
「おまえには、本当驚かされるな」
殿がクシャリと笑った。
髪の間に差し入れられた大きな手も、力強くアタシを求めていて、
「はぁ……との……」
「サラ……」
もうどうなってもいい。
殿が好き。
殿の重さを全身で感じる。
殿の手が頬に触れる度に、愛情も感じる。
殿の激しくなるキスに、意識まで持っていかれそう。
大きな手が首に触れて、そのまま下に移動して……
「っ、ダメ!」
ピタリと殿の動きが止まった。
「サラ?」
「ごめんなさい。この先は、ちょっと……」
それでも動き出した殿の右手を慌てて抑える。
「無理。無理なんです」
「どうして?」
「だって……」
このまま続けてしまえば、女じゃないってバレてしまう。
「もし、そういうことがしたいんだったら、他の娘と……」
「はぁっ……」
大きなため息をついて殿がアタシから離れた。
言葉にしてみれば、酷いことを言ったと思う。
だけど、アタシは殿の想いに応えられない。
嬉しくない訳がない。
殿に触れられて、このまま流されてしまいたい。
もっと殿と触れ合っていたい。
だけど、そんなことしたら……
できない。
バレタクナイ。
「サラ」
「……はい」
「悪かった」
「っ。殿は悪くないです。全然。ただアタシの問題で……」
「この歳になっても、好きな女を前にしたら、抑えが効かなかった」
「殿……」
「俺もまだ若いだろ?」
無理して笑う殿に申し訳なくて、泣きそうになる。
「ごめんなさい」
「謝るなよ。俺がカッコ悪いだろ」
「違うんです。アタシ、本当は殿のことが好きで……」
「もういいよ」
アタシに背中を向ける殿。
胸が苦しい。
「殿……」
「達樹(たつき)」
「え?」
「上杉達樹。俺の名前」
「タツキ……良い名前ですね」
「タダオキだったらな。もっと良かったのにな」
「細川…ガラシャの夫の名前?」
ガバっと殿が起き上がり、目を見開いてアタシを見てる。
「サラ。なんでそれを……」
「歴史に興味があるって話したじゃないですか」
本当は、あれからハマって読んでる漫画で覚えた。
「おまえには、本当驚かされるな」
殿がクシャリと笑った。