銀座のホステスには、秘密がある
「ごめんなサラ」
「ううん。だれ?」
「クラブ グリッターの結菜(ユナ)。最近人気があるんだって」
「ふーん」

この仕事をしていたらしょうがないのかもしれないけど、女同士の争いは未だに怖い。
結菜って娘はアタシのことを知ってるらしい。
その上で勝負を挑んでいるような、ううん、若さっていう勝ちを自慢してるような、そんな目付きだった。

「銀座も変わったよな」
「ん?」
「あぁいう軽そうな娘は渋谷とかなのに」

ケンジさんが首を横に降っている。

「ぅふふ。ケンジさん、オッサンになってるよ」
「なんだと?」
「グリッターでしょ?だったら彩乃(あやの)さんがいるじゃない。大丈夫よ。彩乃さんが教育するでしょ」
「それがさ。彩乃さんも結菜には手を焼いてるらしいよ」
「ふーん」

うちの店ではNo.1の言うことは絶対だと教えられてきた。
No.1に意見したかったら、自分がNo.1になれるくらい努力しなさい、とママに怒られたこともある。
他の店だから同じ訳じゃないんだろうけど、グリッターのNo.1はずっと彩乃さんだと聞いている。

うちでは考えられない。
みんなアタシを立ててくれている。

物思いに耽っていたら、ケンジさんも無言になっていた。

どうやら最高のヘアスタイルが出来上がりそう。
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