銀座のホステスには、秘密がある
今夜のアフターは久しぶりにクラブ龍太郎に連れてこられた。
殿の接待の延長戦って感じで、アタシと彩乃も一緒に。
「いらっしゃ~い」
クラブ龍太郎の独特の雰囲気の中、それなりに盛り上がっていたけど……
「……」
「……何?」
ピンク色の髪をしたキャリーちゃんがジッとアタシを見てる。
「サラちゃんさ、上杉プロデューサーと付き合ってるの?」
ミニスカートから見える細い足をアタシの方に向けて、キャリーちゃんが聞いてきた。
「えっ?」
「ねぇ、どうなの?」
「そ、そういう訳では……」
突然のキャリーちゃんの質問に言葉が出ない。
付き合ってるとか、そんなのよく分からない。
アタシは殿が好きで、殿もアタシのことが好きだと言ってくれた。
ってことは付き合ってるって言っていいの?
だけど、殿はアタシの正体を知らない。
それなのに言っていいの?
落ち着かなきゃって思うのに、動揺して声が小さくなってしまう。
「この前二人で新宿いたでしょ?見たんだよ。仲良さそうに手を繋いでたから、声かけなかったけど」
思い当たるのは先週、仕事の前に殿と待合わせして食事した時。
食事だけして、そのまま別れた。
同伴なら一緒に銀座まで行くんだけど、その日は殿も仕事が終わってないらしくて新宿で会っただけ。
「そう、だっけ?」
あんなに人がたくさんいる中で本当に見られたんだろうか。
「なんで隠すの?好き同士で付き合ってる人たちが内緒にしてるのって意味わかんない」
確かに、キャリーちゃんの言葉はもっともだ。
「そうだね」
付き合ってるって言っていいんだろうか。
それで殿に迷惑がかからないだろうか……
殿が認めてくれたら、言いたい。かもしれない。
みんなにこの人がアタシの彼氏ですって、そんな宣言が出来たらそれ以上の幸せってない気がする。
「人に言えないってことはさ、いけないことしてるってことでしょ?もしかして不倫?」
「上杉様、独身でしょ?」
「じゃ、サラちゃんの方に秘密があるの?」
グラスを取ろうとした手がピクリと止まった。
いけない。普通にしてなきゃ。
「う、ううん。アタシにはない。秘密なんてないよ」
笑顔がぎこちないって自分でも分かる。
キャリーちゃん、お願い、見ないで。
「サラちゃん。嘘つくならもっと上手につきなよ」
殿の接待の延長戦って感じで、アタシと彩乃も一緒に。
「いらっしゃ~い」
クラブ龍太郎の独特の雰囲気の中、それなりに盛り上がっていたけど……
「……」
「……何?」
ピンク色の髪をしたキャリーちゃんがジッとアタシを見てる。
「サラちゃんさ、上杉プロデューサーと付き合ってるの?」
ミニスカートから見える細い足をアタシの方に向けて、キャリーちゃんが聞いてきた。
「えっ?」
「ねぇ、どうなの?」
「そ、そういう訳では……」
突然のキャリーちゃんの質問に言葉が出ない。
付き合ってるとか、そんなのよく分からない。
アタシは殿が好きで、殿もアタシのことが好きだと言ってくれた。
ってことは付き合ってるって言っていいの?
だけど、殿はアタシの正体を知らない。
それなのに言っていいの?
落ち着かなきゃって思うのに、動揺して声が小さくなってしまう。
「この前二人で新宿いたでしょ?見たんだよ。仲良さそうに手を繋いでたから、声かけなかったけど」
思い当たるのは先週、仕事の前に殿と待合わせして食事した時。
食事だけして、そのまま別れた。
同伴なら一緒に銀座まで行くんだけど、その日は殿も仕事が終わってないらしくて新宿で会っただけ。
「そう、だっけ?」
あんなに人がたくさんいる中で本当に見られたんだろうか。
「なんで隠すの?好き同士で付き合ってる人たちが内緒にしてるのって意味わかんない」
確かに、キャリーちゃんの言葉はもっともだ。
「そうだね」
付き合ってるって言っていいんだろうか。
それで殿に迷惑がかからないだろうか……
殿が認めてくれたら、言いたい。かもしれない。
みんなにこの人がアタシの彼氏ですって、そんな宣言が出来たらそれ以上の幸せってない気がする。
「人に言えないってことはさ、いけないことしてるってことでしょ?もしかして不倫?」
「上杉様、独身でしょ?」
「じゃ、サラちゃんの方に秘密があるの?」
グラスを取ろうとした手がピクリと止まった。
いけない。普通にしてなきゃ。
「う、ううん。アタシにはない。秘密なんてないよ」
笑顔がぎこちないって自分でも分かる。
キャリーちゃん、お願い、見ないで。
「サラちゃん。嘘つくならもっと上手につきなよ」