銀座のホステスには、秘密がある
「殿。ここまだ銀座だよ」
「だからどうした?」
「誰かに見られたらどうすんの?」
「サラ」
殿がアタシの手を更に強く握るから、アタシの鼓動も早くなる。

「な、に?」
「ここ銀座だろ?誰が手を繋いでいようが、誰も気にしないだろ」

気にするよ。

肩を抱かれるとかじゃない。
手を繋ぐって、あんまり銀座では見かけないと思う。
手を繋ぐって、腕を組むよりもっとピュアで信頼関係がある気がする。

「いいの?」
「何が?」
「アタシで……」

この手を離したくない。
殿の答えを聞くのが怖い。

「逆に、サラは俺でいいんか?」

え?
質問返し?
それって殿の本心を言いたくないってこと?

「なぁ、どうなんだよ」

殿が笑ってる。
どうなの?
本心なの?
からかってるの?

「アタシは、もちろん、殿が……」

答えようとした時、道路の向いから強い視線を感じた。
< 118 / 222 >

この作品をシェア

pagetop