銀座のホステスには、秘密がある
信号待ちをしてたアタシたちの道路を挟んだ向いに、数人の人が信号待ちをしてるのが見える。
その中の一番左端に、
短いピンク色のドレスに毛皮のコートを羽織ってるクラブグリッターの女がいた。
いつもより敵意のある目でアタシたちを見ている。
怖い。
殿に隠れるように後ろに下がった。
「どうした?」
「あ、いや……」
「その先を言ってくれよ」
「え?」
「えぇ?もちろん殿が……の先だよ。もちろん、何だよ」
殿がアタシと繋いでる手を持ち上げて、手の甲を唇に持っていく。
「ダ、ダメ」
「なんで?」
「見てる。みんな見てるよ」
「気にすんなよ」
みんなって言うか、あの女が見てるの。
殿はアタシの手の甲にキスをして、満足そうに笑っている。
きっと向かいに立ってるあの女のことは見えてない。
信号が変わり一斉にみんなが動き出す。
アタシもなるべくあの女の方は見ないように歩きだして、どうかこのまま何事もなく信号を渡り終えますように。
そう、願ったのに……
その中の一番左端に、
短いピンク色のドレスに毛皮のコートを羽織ってるクラブグリッターの女がいた。
いつもより敵意のある目でアタシたちを見ている。
怖い。
殿に隠れるように後ろに下がった。
「どうした?」
「あ、いや……」
「その先を言ってくれよ」
「え?」
「えぇ?もちろん殿が……の先だよ。もちろん、何だよ」
殿がアタシと繋いでる手を持ち上げて、手の甲を唇に持っていく。
「ダ、ダメ」
「なんで?」
「見てる。みんな見てるよ」
「気にすんなよ」
みんなって言うか、あの女が見てるの。
殿はアタシの手の甲にキスをして、満足そうに笑っている。
きっと向かいに立ってるあの女のことは見えてない。
信号が変わり一斉にみんなが動き出す。
アタシもなるべくあの女の方は見ないように歩きだして、どうかこのまま何事もなく信号を渡り終えますように。
そう、願ったのに……