銀座のホステスには、秘密がある
「結菜。他を当たれよ。俺には、もうサラがいる」
殿がアタシの右手を引く。
隣りを見るとクシャリと笑った顔が、アタシに向けられていた。
「頑張り過ぎてすぐに空回りして、それでも前を向いて頑張る。そんな不器用な女に、俺は惚れたんだ」
「殿……」
殿の優しい瞳が好き。
クシャリと笑う顔が好き。
大きな手も、仕事人間なとこも、全部好き。
ずっとそんな殿を見ていたい。
じんわりと鼻が痛くなる。
嬉し過ぎて、泣きそうだ。
「ふんっ。ばかばかしい。絶対、たっちゃんは結菜を好きになるんだから!」
殿と見つめ合ってるうちに、女は消えていた。
「殿」
「ん?」
「ありがとう」
一緒にいてくれるだけで、幸せ。
「サラ……」
「何?」
「アキラ……」
「え?」
殿がいきなり本名を呼ぶ。
いつもは家の中でしか呼んでくれないのに……
いつになく真剣な目をした殿が
「もう……」
「うん」
何かを言いかけて止めた。
下を向いて、アタシの方を見てない。
なんだかイヤな予感がする。
「いや。なんでもない」
「えー。言って、気になるから」
「たいしたことじゃないんだ」
「じゃ、言ってよ」
「あー。そうだな。んー」
視線が泳いでる。
たぶん他のことを言おうとしてるんだって分かった。
「じゃ、こうしよう。おまえの願いを一つ叶えてやろう。そうしたらサラも俺の頼みを聞いてくれ」
「交換条件?いいよ。殿の頼みならなんでも聞くから、言ってみて」
「いや。まずおまえから。何がいい?バッグか時計か?それともテレビに出てみたいか?あー、分かった、芸能人に会ってみたいだろ?」
「うーん。どれも魅力的だね。でも……」
「なんだ?」
「もし、叶うなら、クリスマスを一緒に過ごしたい」
伺うように殿を見ると、厳しい顔をしてる殿がいた。
殿がアタシの右手を引く。
隣りを見るとクシャリと笑った顔が、アタシに向けられていた。
「頑張り過ぎてすぐに空回りして、それでも前を向いて頑張る。そんな不器用な女に、俺は惚れたんだ」
「殿……」
殿の優しい瞳が好き。
クシャリと笑う顔が好き。
大きな手も、仕事人間なとこも、全部好き。
ずっとそんな殿を見ていたい。
じんわりと鼻が痛くなる。
嬉し過ぎて、泣きそうだ。
「ふんっ。ばかばかしい。絶対、たっちゃんは結菜を好きになるんだから!」
殿と見つめ合ってるうちに、女は消えていた。
「殿」
「ん?」
「ありがとう」
一緒にいてくれるだけで、幸せ。
「サラ……」
「何?」
「アキラ……」
「え?」
殿がいきなり本名を呼ぶ。
いつもは家の中でしか呼んでくれないのに……
いつになく真剣な目をした殿が
「もう……」
「うん」
何かを言いかけて止めた。
下を向いて、アタシの方を見てない。
なんだかイヤな予感がする。
「いや。なんでもない」
「えー。言って、気になるから」
「たいしたことじゃないんだ」
「じゃ、言ってよ」
「あー。そうだな。んー」
視線が泳いでる。
たぶん他のことを言おうとしてるんだって分かった。
「じゃ、こうしよう。おまえの願いを一つ叶えてやろう。そうしたらサラも俺の頼みを聞いてくれ」
「交換条件?いいよ。殿の頼みならなんでも聞くから、言ってみて」
「いや。まずおまえから。何がいい?バッグか時計か?それともテレビに出てみたいか?あー、分かった、芸能人に会ってみたいだろ?」
「うーん。どれも魅力的だね。でも……」
「なんだ?」
「もし、叶うなら、クリスマスを一緒に過ごしたい」
伺うように殿を見ると、厳しい顔をしてる殿がいた。