銀座のホステスには、秘密がある
銀座の街は夕方なるとその顔を変える。
ビジネスマンに加えて、色鮮やかな女達が颯爽と歩いている。
ここで一夜の夢のため綺麗に飾りたてお客様をおもてなしする、華やかに見えて本当は意外と大変。

続けることも難しいけど、No.1になるのはもっと厳しい。
顔だけで残っていけるほど、甘い世界じゃない。
加えて、女同士の争いも日常茶飯事。

薄暗くなってネオンが目立ち始めた中、ドレスを翻しながら歩くと、一際重厚なビルが見える。
そばには小さな噴水なんかも置いてある。

このビルの5階がアタシが働く、クラブ モンテカルロ。

銀座の老舗クラブ。

銀座7丁目にあるモンテカルロは店内も高級感溢れる佇まい。
そんな中にも遊び心があり、お客様はマスコミ関係や芸能人、スポーツ選手が多い。

店の中での事は一切口外しないから、信用されているらしい。
まぁママの人柄もあるんだけどね。

アタシは裏口から入って小さめのエレベーターで5階で降りる。
簡素なドアを開くと別世界。

「おはようございます」

挨拶は大事、とこれまたママの口癖。

「サラさん、おはようございます」

まっ先に迎えてくれたのはボーイと呼ばれる黒ベストの男の子。
戸塚君はかなりのイケメン君。

裏口から入って、ロッカー兼メイクルームへと行く。
ここで最終仕上げ。

メイクを整え、ジュエリーを身につけたら、

『クラブ モンテカルロ』No.1ホステス、サラの完成。
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