銀座のホステスには、秘密がある
別に、今はもうこいつのことが好きな訳じゃない……はずなのに、少なからずショックを受けてる自分に驚く。

「へー。おめでとう」
おまえなんかがどうしてようと関係ない。って思いたいのに、祝いの言葉が口先だけの物になってしまう。

「あぁ。ありがと」
充伸は、恥ずかしげもなく照れてやがる。

おまえ、わざわざそれを言いに来たのか。

「まさか。式に出ろとか言いに来たとか…」
「頼んだら出てくれんのかよ」
「この格好で?無理だっつーの」
「友人代表のスピーチを……」
「バカだろ。この格好で友人代表とかねーだろ」
「だけど、俺にはおまえ以上の友達は考えらんねーんだよ」

何でそんな恥ずかしいこと堂々と言えんだよ。

……嬉しいけど。

その言葉を聞けただけで顔が緩んで、じんわりと胸に暖かいものが広がっていく。

ずっと嫌われてると思っていた。
もう充伸に会うこともないって思っていた……

俺にもおまえ以上の友達はいねーよ。
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