銀座のホステスには、秘密がある
間接照明で異世界の雰囲気の店内。
ここがアタシの世界。
「サラさん、奥のカウンターに加藤様いらっしゃってます」
「はぁい」
待機の場所へ行くまでもなく、ボーイチーフの中山君に呼ばれた。
カウンターにはサングラスが似合う常連のおじさま加藤様。
どうやら一人でいらっしゃったみたい。
「いらっしゃいませ」
「サラ。遅かったな」
「加藤様が早すぎなんです」
加藤様の隣には某アイドルグループのセンターに似ている愛ちゃんが付いてる。
「おはようございます、サラさん。
加藤様ったら、ずっとピスタチオを食べてらっしゃるんですよ。サラさんが来るのがあと30分遅かったら、お店のピスタチオがなくなるとこでした」
愛ちゃんのかわいらしい口がアヒルのようになってる。
「愛ちゃん、ありがとう」
愛ちゃんが準備してくれた水割りのグラスを手に取り、
「いただきます」
コツとグラスを合わせた。
「サラ。そのドレスにそのイヤリングでは、ボリュームが足らないんじゃないか?」
「そうですね。ちょっとシンプル過ぎました」
「はっはは。サラは上手いな。そうやってドレスに合うイヤリングを私に買わせようとしてるだろ?」
「そんなことないですよ」
「分かってる、分かってる。だけどな、そのドレスに合うイヤリング、持ってるのか?」
「そう言われると……」
「そうだろう?ここは私にプレゼントさせてもらえるかい?」
加藤様の人懐っこい笑顔に、つい甘えてしまう。
「いつも、ありがとうございます」
「いやいや。サラの喜ぶ顔を想像しながらプレゼントを選ぶのも、また一興というものだ」
満足気な加藤様がテーブルの上に置いてあったシルバーのシガーケースに手を伸ばすから、アタシも胸元から細いライターを取り出す。
これがアタシの仕事。
普段は会話もできないような会社社長や、政治家の方々がいらっしゃるこの仕事は、礼儀作法や気配りをものすごく教え込まれて、一流のおもてなしを求められる。
毎日が勉強。努力。
じゃないとアタシは追いつけないから
ここがアタシの世界。
「サラさん、奥のカウンターに加藤様いらっしゃってます」
「はぁい」
待機の場所へ行くまでもなく、ボーイチーフの中山君に呼ばれた。
カウンターにはサングラスが似合う常連のおじさま加藤様。
どうやら一人でいらっしゃったみたい。
「いらっしゃいませ」
「サラ。遅かったな」
「加藤様が早すぎなんです」
加藤様の隣には某アイドルグループのセンターに似ている愛ちゃんが付いてる。
「おはようございます、サラさん。
加藤様ったら、ずっとピスタチオを食べてらっしゃるんですよ。サラさんが来るのがあと30分遅かったら、お店のピスタチオがなくなるとこでした」
愛ちゃんのかわいらしい口がアヒルのようになってる。
「愛ちゃん、ありがとう」
愛ちゃんが準備してくれた水割りのグラスを手に取り、
「いただきます」
コツとグラスを合わせた。
「サラ。そのドレスにそのイヤリングでは、ボリュームが足らないんじゃないか?」
「そうですね。ちょっとシンプル過ぎました」
「はっはは。サラは上手いな。そうやってドレスに合うイヤリングを私に買わせようとしてるだろ?」
「そんなことないですよ」
「分かってる、分かってる。だけどな、そのドレスに合うイヤリング、持ってるのか?」
「そう言われると……」
「そうだろう?ここは私にプレゼントさせてもらえるかい?」
加藤様の人懐っこい笑顔に、つい甘えてしまう。
「いつも、ありがとうございます」
「いやいや。サラの喜ぶ顔を想像しながらプレゼントを選ぶのも、また一興というものだ」
満足気な加藤様がテーブルの上に置いてあったシルバーのシガーケースに手を伸ばすから、アタシも胸元から細いライターを取り出す。
これがアタシの仕事。
普段は会話もできないような会社社長や、政治家の方々がいらっしゃるこの仕事は、礼儀作法や気配りをものすごく教え込まれて、一流のおもてなしを求められる。
毎日が勉強。努力。
じゃないとアタシは追いつけないから