銀座のホステスには、秘密がある
いずれ銀座中に知れ渡るような気がして怖い。
アタシの大事な人たちが、アタシから去っていくのが怖い。
「それで何か言われたの?黙ってる代わりにお金ちょうだいとか?」
まだその方が良かった。
「……上杉様と別れろって」
樹里は黙ってる。
当然かもしれない。今まで殿のこと話題にも出したことなんてなかった。
「で?どうするの?」
「……別れようと思う」
「付き合ってたの?」
「そういう訳じゃないんだけど、仕事始めの同伴の約束をしてくれた」
「付き合ってる訳じゃないの?」
「うん……」
それなのに、別れるって違う気もする。
「それでいいんだったら、良かったじゃない。お金とか要求されないだけマシでしょ?」
「でも……」
「銀座から出て行けとか言われたんじゃないんでしょ?こんな言い方したら上杉様に申し訳ないけど、お客様一人を失っても、サラならすぐにお得意様が増えるでしょ?」
「上杉様とはそんなんじゃない」
「あのね、サラ。アタシたちは銀座に生きてんのよ。恋の駆け引きが仕事みたいなもんでしょ?のめり込んでどうするのよ。上杉様はお客様。サラはうちの店のNO.1。みんなサラに憧れてんのよ。サラは、ここの女の子たちの憧れなの。お願いだから、こんなところでつまずかないで」
「でも……」
殿は違う。
お客様だけど、真剣に愛してる。
だけど、もう、会うこともない。
「樹里ー。大丈夫かー?」
もう少し、樹里と二人で話していたかったのに、ゴンちゃんが呼びに来た。
アタシの大事な人たちが、アタシから去っていくのが怖い。
「それで何か言われたの?黙ってる代わりにお金ちょうだいとか?」
まだその方が良かった。
「……上杉様と別れろって」
樹里は黙ってる。
当然かもしれない。今まで殿のこと話題にも出したことなんてなかった。
「で?どうするの?」
「……別れようと思う」
「付き合ってたの?」
「そういう訳じゃないんだけど、仕事始めの同伴の約束をしてくれた」
「付き合ってる訳じゃないの?」
「うん……」
それなのに、別れるって違う気もする。
「それでいいんだったら、良かったじゃない。お金とか要求されないだけマシでしょ?」
「でも……」
「銀座から出て行けとか言われたんじゃないんでしょ?こんな言い方したら上杉様に申し訳ないけど、お客様一人を失っても、サラならすぐにお得意様が増えるでしょ?」
「上杉様とはそんなんじゃない」
「あのね、サラ。アタシたちは銀座に生きてんのよ。恋の駆け引きが仕事みたいなもんでしょ?のめり込んでどうするのよ。上杉様はお客様。サラはうちの店のNO.1。みんなサラに憧れてんのよ。サラは、ここの女の子たちの憧れなの。お願いだから、こんなところでつまずかないで」
「でも……」
殿は違う。
お客様だけど、真剣に愛してる。
だけど、もう、会うこともない。
「樹里ー。大丈夫かー?」
もう少し、樹里と二人で話していたかったのに、ゴンちゃんが呼びに来た。