銀座のホステスには、秘密がある
「サラさん」
しばらくするとボーイチーフの中山君に呼ばれる。
「ゴンちゃん。ちょっと早くない?」
加藤さんが片目を細めて抗議する。
中山だからゴン。
安易すぎるネーミングはお客様にまで浸透してる。
「加藤様。すみません。少しだけ。すぐに戻しますので」
ゴンちゃんがアタシを呼ぶけど、本当に早いと思う。
仕方なくご挨拶をしてバックに下がるけど、
「どうしたの?あれじゃ加藤様に失礼だよ」
「ごめんサラ。どうしても3番のお客様がサラを見たいと言われてて、もう電車の時間がないらしいんだ」
「電車?」
「新幹線。静岡からのお客様の接待らしい」
「分かった」
お店とバックを仕切る赤いカーテンはまるで本物の舞台の緞帳のようで、
そこをくぐる時、少しばかり背筋が伸びる。
「いらっしゃいませ。サラでございます」
「おー!来た来た!サラ。こっちにおいで」
そこには常連の逸見様。
お隣には初見の方。
「こちらの方は?」
逸見様は嬉しそうに手招きしながら、
「私が今回お世話になる東さんだよ。静岡で工場を経営されてるんだ。
どうしてもサラを見せたくてね」
それだけ言うと、逸見様は東様に向き直り、
「東さん。どうだい?女神みたいだろ?これほど整った顔は見たことないだろ?」
間に座ったアタシを挟んでお二人が会話する。
「いやー。これほどとは。さすが銀座だねー」
東様の言葉にその場の全員が笑った。
「改めまして、サラでございます」
口元に優雅に微笑を浮かべて、シャンパングラスを掲げると、
「いやー。まぶしくて正面からは拝めませんなー」
東様は片手で顔を覆ってしまった。
しばらくするとボーイチーフの中山君に呼ばれる。
「ゴンちゃん。ちょっと早くない?」
加藤さんが片目を細めて抗議する。
中山だからゴン。
安易すぎるネーミングはお客様にまで浸透してる。
「加藤様。すみません。少しだけ。すぐに戻しますので」
ゴンちゃんがアタシを呼ぶけど、本当に早いと思う。
仕方なくご挨拶をしてバックに下がるけど、
「どうしたの?あれじゃ加藤様に失礼だよ」
「ごめんサラ。どうしても3番のお客様がサラを見たいと言われてて、もう電車の時間がないらしいんだ」
「電車?」
「新幹線。静岡からのお客様の接待らしい」
「分かった」
お店とバックを仕切る赤いカーテンはまるで本物の舞台の緞帳のようで、
そこをくぐる時、少しばかり背筋が伸びる。
「いらっしゃいませ。サラでございます」
「おー!来た来た!サラ。こっちにおいで」
そこには常連の逸見様。
お隣には初見の方。
「こちらの方は?」
逸見様は嬉しそうに手招きしながら、
「私が今回お世話になる東さんだよ。静岡で工場を経営されてるんだ。
どうしてもサラを見せたくてね」
それだけ言うと、逸見様は東様に向き直り、
「東さん。どうだい?女神みたいだろ?これほど整った顔は見たことないだろ?」
間に座ったアタシを挟んでお二人が会話する。
「いやー。これほどとは。さすが銀座だねー」
東様の言葉にその場の全員が笑った。
「改めまして、サラでございます」
口元に優雅に微笑を浮かべて、シャンパングラスを掲げると、
「いやー。まぶしくて正面からは拝めませんなー」
東様は片手で顔を覆ってしまった。