銀座のホステスには、秘密がある
フロアの様子が気になって、メイクルームから顔を出した時だった。
偶然飲み物を取りに来た戸塚君と目が合った。
さっと顔を伏せてメイクルームに逃げようとしたら、
「あ!サラさん!」
ってデカい声で呼ぶ戸塚君。
見つかった。
すぐにゴンちゃんが駆けつけてきて、腕を掴まれた。
「何やってるんだ!」
って怒りを押し殺した言い方で腕をギュッと握られたから、相当大変だったんだろうって想像がつく。
すぐにあかねママもやって来て、どうしたの?何があったの?って矢継ぎ早の質問攻め。
だけど、みんなが見てる前で本当の事は言えない。
言える訳ない。
そうしてローラママに散々嫌味を言われていた時、樹里が戻って来た。
「大丈夫」
口パクでそう言う。
何が大丈夫だって言うんだろう。
分かんない。って顔をしたら、
「さぁ。皆さんフロアに戻りましょう。サラ。お客様がお待ちよ」
樹里がアタシの周りに固まって怒ってた人たちをどかしてくれた。
「殿は?上杉様は?」
樹里の腕を引く。
「上杉様はお帰りになったから」
大丈夫よ。って肩を叩かれた。
そう。殿は帰ったんだ。
その方がいいのに、会えなかったのが寂しいって思う。
会ったら殿のこと諦めることなんかできなくなるだろうけど……
会いたかった。
偶然飲み物を取りに来た戸塚君と目が合った。
さっと顔を伏せてメイクルームに逃げようとしたら、
「あ!サラさん!」
ってデカい声で呼ぶ戸塚君。
見つかった。
すぐにゴンちゃんが駆けつけてきて、腕を掴まれた。
「何やってるんだ!」
って怒りを押し殺した言い方で腕をギュッと握られたから、相当大変だったんだろうって想像がつく。
すぐにあかねママもやって来て、どうしたの?何があったの?って矢継ぎ早の質問攻め。
だけど、みんなが見てる前で本当の事は言えない。
言える訳ない。
そうしてローラママに散々嫌味を言われていた時、樹里が戻って来た。
「大丈夫」
口パクでそう言う。
何が大丈夫だって言うんだろう。
分かんない。って顔をしたら、
「さぁ。皆さんフロアに戻りましょう。サラ。お客様がお待ちよ」
樹里がアタシの周りに固まって怒ってた人たちをどかしてくれた。
「殿は?上杉様は?」
樹里の腕を引く。
「上杉様はお帰りになったから」
大丈夫よ。って肩を叩かれた。
そう。殿は帰ったんだ。
その方がいいのに、会えなかったのが寂しいって思う。
会ったら殿のこと諦めることなんかできなくなるだろうけど……
会いたかった。