銀座のホステスには、秘密がある
スッと全身の血が引いた。
そうかもしれないと思ったけど、やっぱりそうだったんだ。
殿はこれから誰かと同伴する。

あんなに同伴は難しいって言っておきながら、同伴はアタシからのお願いごとでやっとしてもらえたのに。
他の娘とはそんな簡単に同伴するんだ。

泣いちゃいけない。
これは自分で決めたことなんだから。
殿を責める理由なんかアタシにはない。

分かっているけど、悔しい。
止めておけばいいのに、って思うけど相手の女を確かめたくなる。

だれ?
誰が殿に同伴をねだったの?

もう一度そっと通りに出てみた。

殿に腕を絡ませてる女が見えた。
足元までのロングの水色のドレス。
誰だろう。あんな娘見たことない。

そう思った時、女が殿を見上げて笑った。
その横顔、結菜?
グリッターのあの女に似てる。
でもあの娘は普段はミニのドレスの方が多いのに……
まるでアタシみたいなドレスを着てる。

それはただの妬みなんだろうと思う。
殿の横にいるのは自分だと思いたいからそう見えるんだろうと思うけど……

自然と足が動いてた。
殿の後を追うように、二人をつけていた。

曲がり角を曲がっていく女を見た時、はっきり分かった。

殿に甘えるように隣を歩いてたのは、
グリッターの結菜。

アタシと殿を別れさせて、やっぱりあの女が殿と付き合うようになったんだ。

悔しさがこみ上げる。

アタシだって、あの娘に負けないくらい殿が好きだったの……
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