銀座のホステスには、秘密がある
赤い漆塗りの櫛に、小さな白い蝶が2羽、はかなげに螺鈿で細工されている。
「可愛い」
隣りで覗いていた樹里が声を上げる。
櫛を持つ手が震える。
アタシは身長が大きく目鼻立ちもしっかりしてるから、割と綺麗系の物を送られることが多い。
洋服を選びに行っても、白や青やハッキリした色や、クールな印象の物を勧められることが多いから、他の人から見たアタシの印象はそっち系なんだろうと諦めていた。
でも、本当はピンクが好き。
リボンやレースがついてる可愛い物が好き。
だけどそんな可愛い物はアタシには似合わないって諦めていた。
ただ、部屋の中だけはそんな大好きな小物たちでいっぱいにしてる。
アタシの隠してる本心。
この櫛が、誰から贈られた物か分かってしまった。
「…殿……」
きっとさっき目が合った時に気付かれてしまったんだ。
アタシが櫛をつけてないことに……
たった一瞬だったのに、そんなことまで気にして……
隣りには可愛い女の子を連れてたのに……
「サラ?」
涙が止まらない。
樹里の心配そうな声に泣いちゃいけないって思うのに、涙が止まってくれない。
「誰から贈られたか分かったのね。もしかして上杉様?」
次から次へと流れ落ちる涙を抑える手も震えている。
アタシはただ肯くことでしか樹里に想いを伝えられない。
「サラ……そんなに上杉様のこと好きだったの……」
樹里はアタシから顔を逸らした。
もしかしたら樹里も一緒に泣いてくれてるのかもしれない。
「そろそろ……」
呼びに来たゴンちゃんがアタシたちの方を見て驚いている。
「サラさん?」
他の女の子もいるのに……
泣いちゃいけないって分かってるのに……
時間かけたメイクだって落ちるって分かってるのに……
「……殿……」
涙が止まらない
「可愛い」
隣りで覗いていた樹里が声を上げる。
櫛を持つ手が震える。
アタシは身長が大きく目鼻立ちもしっかりしてるから、割と綺麗系の物を送られることが多い。
洋服を選びに行っても、白や青やハッキリした色や、クールな印象の物を勧められることが多いから、他の人から見たアタシの印象はそっち系なんだろうと諦めていた。
でも、本当はピンクが好き。
リボンやレースがついてる可愛い物が好き。
だけどそんな可愛い物はアタシには似合わないって諦めていた。
ただ、部屋の中だけはそんな大好きな小物たちでいっぱいにしてる。
アタシの隠してる本心。
この櫛が、誰から贈られた物か分かってしまった。
「…殿……」
きっとさっき目が合った時に気付かれてしまったんだ。
アタシが櫛をつけてないことに……
たった一瞬だったのに、そんなことまで気にして……
隣りには可愛い女の子を連れてたのに……
「サラ?」
涙が止まらない。
樹里の心配そうな声に泣いちゃいけないって思うのに、涙が止まってくれない。
「誰から贈られたか分かったのね。もしかして上杉様?」
次から次へと流れ落ちる涙を抑える手も震えている。
アタシはただ肯くことでしか樹里に想いを伝えられない。
「サラ……そんなに上杉様のこと好きだったの……」
樹里はアタシから顔を逸らした。
もしかしたら樹里も一緒に泣いてくれてるのかもしれない。
「そろそろ……」
呼びに来たゴンちゃんがアタシたちの方を見て驚いている。
「サラさん?」
他の女の子もいるのに……
泣いちゃいけないって分かってるのに……
時間かけたメイクだって落ちるって分かってるのに……
「……殿……」
涙が止まらない