銀座のホステスには、秘密がある
スキャンダル
季節は過ぎ去り、もう厚手のダウンコートは必要なくなってきてそろそろ春物の洋服が気になりだすこの頃、
アタシは変わりのない毎日を送っていた。

一つ変わったことがあるとするなら、こたつをしまったこと。

いつまでも部屋の真ん中を占領してるこたつが、殿を想って未練がましい気がして、早めに片付けた。
そうしてまた赤いエアロバイクをリビングに戻した。

今日も日課のトレーニングをやってから出勤の予定。

お店での変化は、樹里とアタシと二大勢力なんて言われて、どっちが次のママになるか、今からあーでもない、こーでもないって噂している。
実際、樹里もママから経営のことを習い始めたらしい。

負けたくないって思うけど、もし樹里がママになってしまったら、チーママはアタシがなってあげようと思う。
もちろんアタシがママになったら樹里以外にチーママいないんだけど。

いつも樹里を意識して、この人に笑われたくないって思いがアタシを強くしていく気がする。

「おはよう」
「サラさん。おはようございます」
にっこり笑って挨拶してくれた愛ちゃんはもうすぐお店を辞める予定。
就職が決まったから、もうバイトは続けないらしい。
もともと短期のつもりだったから、これまでよく頑張ってくれたと思う。
送別会は盛大にしてあげなきゃね。

「サラ。今日は早いな」
「うん。石塚様の予約が入ってたでしょ？あの方、時々早く来ることあるからね」
「そうだな」

ゴンちゃんがメイクルームに顔を出したってことは、もう開店の準備が整ったってこと。

さて、今日も笑って過ごしましょうか。
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