銀座のホステスには、秘密がある
鏡の前に座ってメイクを直してると、後ろのテーブルでスマホを触ってる愛ちゃんがチラチラとアタシを見てるような気がする。
「愛ちゃん。どうしたの?」
「サラさん……」
「ん?」
「もう上杉様はいらっしゃらないんですか?」
「……」
殿はあれ以来、一度も来店していない。
それどころか、狭い銀座ですれ違うこともない。
もともと殿が銀座に来るのは遅い時間が多かった。
だからそのままアフターって流れになることが多くて……
どこかですれ違うくらいあってもいいと思うんだけど、それすらもアタシには許されていないらしい。
「どうして急にそんなこと聞くの?」
「ごめんなさい。でも、これ……」
愛ちゃんがスマホの画面をアタシに向ける。
「これ、上杉様じゃないかと……」
覗きこんだ画面には有名女優・矢部ゆかりの不倫疑惑のニュース記事。
「どれ?」
「この不倫相手の敏腕プロデューサーU氏って、上杉様かなって……」
愛ちゃんの手から奪うように取ったスマホには小さな写真が載ってて、
「微妙……」
小さすぎて分からない。
「これ週刊誌の写真なんですよ。買ってきましょうか?」
愛ちゃんをしばらく見つめたあと、
「違う人よ」
笑い飛ばした。
写真は似てると思うけど、殿がそんなことするはずない。
違う人のことだよ。って全く疑わなかった。
でも……
「愛ちゃん。どうしたの?」
「サラさん……」
「ん?」
「もう上杉様はいらっしゃらないんですか?」
「……」
殿はあれ以来、一度も来店していない。
それどころか、狭い銀座ですれ違うこともない。
もともと殿が銀座に来るのは遅い時間が多かった。
だからそのままアフターって流れになることが多くて……
どこかですれ違うくらいあってもいいと思うんだけど、それすらもアタシには許されていないらしい。
「どうして急にそんなこと聞くの?」
「ごめんなさい。でも、これ……」
愛ちゃんがスマホの画面をアタシに向ける。
「これ、上杉様じゃないかと……」
覗きこんだ画面には有名女優・矢部ゆかりの不倫疑惑のニュース記事。
「どれ?」
「この不倫相手の敏腕プロデューサーU氏って、上杉様かなって……」
愛ちゃんの手から奪うように取ったスマホには小さな写真が載ってて、
「微妙……」
小さすぎて分からない。
「これ週刊誌の写真なんですよ。買ってきましょうか?」
愛ちゃんをしばらく見つめたあと、
「違う人よ」
笑い飛ばした。
写真は似てると思うけど、殿がそんなことするはずない。
違う人のことだよ。って全く疑わなかった。
でも……